あらすじ
明治末期。鰊漁で沸く浜益村。鰊漁師達にとってはまさに黄金時代と呼ばれたこの時代。捕っても捕ってもやってくる鰊を更に捕ろうと道内のあちこちでは角網が使われだし、ここ浜益村でも使われるようになった。
一度網に入った魚は絶対に逃がさない、新しい網。後に「建網」の名で呼ばれるこの網の普及によって、浜益村の鰊の漁獲高は飛躍的に上がる。
しかし、ひとつの角網を起こすためには30人以上の人手が必要となり、住民だけでは人手が足りないほどになっていた。
そこで、青森や岩手、秋田などの東北地方、富山、石川などの北陸地方、そして鰊が捕れなくなり始めた道南から多くの若者が雇われて、浜益にやってきた。
漁夫でふくれあがる浜益の人口。活気づく村。しかし、よそ者に対して村人の反応は冷たかった・・・。
初めて鰊漁をする若者達にとっても、寝る暇もなく鰊をとり続ける仕事は想像以上に辛かった。
「二度とくんべつ、ハママシケ・・・」
浜益での生活を嘆く若者達。
そして募っていく親方への不満。中には逃げ出す者も・・・。
しかし、そんな若者達も浜益で暮らし夏・秋・そして厳しい冬を過ごすうちに、心も身体もたくましい鰊漁師へと変わっていった。
若者達は待ちわびた春に喜び、仕事への意欲を見せる。
そんなある日のこと、時化の海に出た彼らの船は、あまりにもとれすぎた鰊の重みで沈みそうになる・・・・。
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「二度とくんべつ(群別)、ハママシケ・・・・」
若者達があまりの辛さに、浜益の地名をもじって番屋の壁に落書きをした。
他に「涙ポロポロ(幌)」「仕事しりない(尻苗・切りないのもじり)」など。
厳しい冬の間中
おらたちは
鰊が来る春を待っていたのよ
ずっと待っていた春だから
おらたちは鰊に命かけられるのよ
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