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あらすじ


  りんの記憶

 時は昭和30年代後半、浜益の農家ではまだ馬が活躍していた。
その一方で交通機関の発達や農業の機械化が進むなか、自動車や最新式トラクターが登場する。

物珍しさに歓喜に満ちて見物する子供達。少年の1人の家にはまだ馬がいた。
祖父が大事にかわいがっていた。浜益から馬が次々に姿を消していくことに寂しさを抱いていた。
近くに住む息子は必要の無い馬を早く売るように説得するが、祖父は首を縦に振らない。

そんな情景に少年は複雑な心境を抱いていた。

ある日の夕暮れ、事件は起こる。
村の子供達数人が、どこかへ遊びに行ったまま戻らないという。
大人達が手分けして探すが、日が暮れてなかなか見つけることができない。

そして馬を売れと言っていた息子が年老いた父のもとを訪れる。

「馬を出してくれ・・・・」

馬は知っていた。子供達が不安な気持ちで肩を寄せ合っている場所が。
そして少年達は気付く。遠くから響く「りん」の音。馬だ。馬が見つけてくれた。

少年の祖父は馬を売る決心をし、息子に語り始めた。
「馬は悟っていた。自分の死を。」このとき、息子は初めて父にとって馬がどれだけ大切だったか分かった。そして、遠からず浜益にいる他の馬たちも同じ運命をたどることに胸が痛んだ。

家族同然だった馬たちに何かしてやれることはないかと考え、馬たちの雄志を人々に焼き付けるのに最もふさわしい「あること」を思いつく・・・・・。





   

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