あらすじ
昭和5年、ニシン漁に沸く浜益。そんな街で生まれ育った3人の少年、櫂二郎・春来・銀蔵はいつか自分達もニシン漁の船に乗ることを夢見ていた。
しかし、大漁とは言っても、ニシンの数は着実に減ってきていた。「このままでは漁場同士が競い合ってお互いつぶし合いをしてしまう」そう感じた親方は、合同漁業株式会社にニシン漁に関わる全てを売り渡してしまう。
時代の流れのなかで形を変えるニシン漁とともに、櫂二郎達3人も大人になっていく。そして、減り続けたニシンは昭和11年に大凶漁をもたらした。
「昭和11年を忘れるな・・・・」
あの大凶漁を繰り返すまいと、翌年から浜益の漁家にはこの言葉を書いた赤い紙がくばられた。
その言葉どおりに息を吹き返すニシン漁。戦後の復興を呼びかける声とともに、浜にはかつての賑わいが蘇る。
しかし、それが最後であった。
突然姿を消したニシン。
「またニシンは帰ってくる」
「このままニシンは消えてしまうんではないだろうか」
様々な思いをのせながら、歴史という船はゆっくりと進んでいく。
「鰊」という魚に振り回されていくように、人々の生き様は形を変えながら、時代の中に飲み込まれていく。
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夢を抱いた少年達の生涯をとおして描かれた作品。
上演時間は約3時間にわたった。
おれたちが追いかつづけたものは幻の魚だったのか?
それとも
あのころの暮らしだったのか?
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